週刊文春連載のマンガ
娘の立場、老いてきた親の立場…アラフォーならハッと気づかされるシーンが満載
40歳の独身の娘と両親の3人暮らしを描いた漫画です。
会社員として勤める娘のヒトミさんに同感したり、ハッとさせられたり、自分の両親もこんなふうに思っているのかなと思いを馳せたり…。いつか、こんな風に子どもに対して感じることもあるのかなと考えたりします。
今回は文春文庫版で読みました。単行本の2冊分(1冊1050円+税)が660円+税で読めるのでお得です!
1冊目のレビューはこちらからどうぞ。↓
沢村家の人々
沢村さん家のこんな毎日 久しぶりの旅行と日々ごはん篇 家族紹介父 沢村四朗(70)定年退職してからというもの、趣味と体力づくりに勤しんでいる。愛読書は『鬼平犯科帳』新潟のへぎそばが好物。
母 沢村典江(69)明るく社交的で、料理が上手。近所に友達も多い。好きな番組は「朝ドラ」。得意メニューは魚の煮つけ。
娘 沢村ヒトミ(40)一人暮らし未経験の独身。入社18年目のベテランOL。仲良し3人組でおしゃべりに興じるのが1番のストレス解消。
心に残ったエピソード
切ないエピソードが多くなってしまいましたが、ほっこりしたり、笑えたり、そんなお話もたくさんあります。
娘が同居することのメリットを世間に訴えたい
”世間”にアピール=他人軸に気付く
ヒトミさんが、お母さんの典江さんと二人でタイ料理に行くエピソードがあります。
お母さんはタイ料理初体験で、「意外と食べやすいわね」とおいしく食事をします。そこで、娘のヒトミさんは「お友達にも教えてあげたら?「こういう店に行ったって言ったら驚くんじゃない?」とお母さんに言います。
お母さんのお友達に自慢することで、娘がずっと同居していることで良い事あるよと遠回しに世間に訴えるというお話でした。

「40歳にもなって、ずっと両親と同居しているの?」という声も”世間”からは聞こえてくるのだと想像します…。
ヒトミさんは恋をしてこなかったわけではありません。一生懸命会社で働いて、それなりに恋もしてきたんですよね。でも結婚までつながる恋には出会わなかっただけなのです。
お母さんの友人という”世間”に対して、自分の存在意義を証明したくなる気持ちわかるなぁと思いました。
夕焼けがきれいですね

日常の中の幸せに気づくこと
ヒトミさんが会社でパソコンに向き合っています。ふと窓を見上げるときれいな夕焼けが広がっていました。隣席の同僚が「夕焼けきれいですね」と話かけてくる、というシーンです。
美しい夕焼けを、窮屈な箱(ビル)から見なければいけない人生ってなんだろう、とヒトミさんは考えます。そして同僚と夕焼けの美しさを共有することで人生の喜びの1つだと思いなおして、また仕事に戻ります。

人生って、こういう小さな幸せをどれだけ積み重ねていけるかだよなって思ったエピソードです。私は夕焼けと朝焼けがとても好きで、見るたびに圧倒されます。わかりやすい幸福(名声や社会的成功、裕福)とは縁遠くても、夕焼けを美しいと感じられる感性、共感できる人が近くにいる喜び…そういうものってお金では買えない価値があると思います。
遺影選び
お母さんの典江さんが押し入れを整理している時に、箱から写真が出てきます。ふと、娘のヒトミさんは自分が死んだらどの写真を選ぶのかと思ってすこし切なくなるというエピソードです。
切なくなるだけでなく、典江さんの最後の1コマに救われました。ぜひ読んでみてください。

今年、私の義理の祖母が亡くなりました。祖母は事前に葬儀会社の会員になっていて、娘である義理の母と遺影を決めていました。その遺影は私たちの結婚式の時の写真でした。どんな気持ちで二人で遺影を決めたのかなと思って、私も切なくなりました。
会社勤めを思い出すお菓子

お父さんの四朗さんが、奥さんの典江さんと一緒に和菓子屋さんへ行き、「食べたい和菓子はある?」と尋ねられます。
そこで四朗さんは会社勤めだったころに、3時のおやつに女性社員が持ってきてくれたなんてことのないお土産のお菓子を懐かしく思い浮かべます。

父が勤務していた頃もそんな事あったかな、と考えました。父と話していないことがたくさんありすぎて、いつか後悔する日がくることまで想像してしましました。面と向かっていろいろ話すのは気恥ずかしいですが、聞いてみたいです。
パラサイトシングルという暗いイメージを吹き飛ばす
3人それぞれ想いあって暮らしていく
以前読んだのは20代の時でした。その時は「40歳になって独身で親と同居なのは嫌だなぁ」と思っていました。私自身に置き換えてみると、両親がそれを許さないとも感じました。経済的に自立したら、家をでて自活することというのが自分の中にもありました。
かつてパラサイトシングル(親と同居する未婚の成人の子ども)という言葉があったことを思い出しました。
パラサイト=他の生物に依存して生きる寄生生物
検索したところ、ちょうど10年前くらいの記事が多くでてきたのでその頃もてはやされた単語なのですね。私自身の考えも。時の潮流に影響を受けていたのかもしれません。『沢村さん家』シリーズも初版は10年ほど前なので時代の流れもあっての連載だったのでしょうか。
パラサイトという単語は、親に寄生するという悪い意味で使われています。
一方、沢村家はヒトミさんは料理や掃除といった家事は(おそらく)お母さん任せですが、ヒトミさん自身は会社員として稼ぎもあり、仲も良く幸せな同居と言えそうです。

ヒトミさんは独身であることをくよくよ悩んだりはしません。3人それぞれが自分の人生を見つめて、想いあいながら生きていくそんなホームドラマです。
益田ミリさんのマンガ紹介


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