すーちゃんの恋(2012)
『すーちゃん』は益田ミリさんによる漫画で、主人公は独身女性のすーちゃんです。
今回ご紹介する『すーちゃんの恋』はシリーズ第4弾です。

内容にもすこし触れています

登場人物
森本好子(もりもとよしこ)
37歳独身
鹿児島県出身
資格:調理師免許、そろばん4級
趣味:料理
すーちゃんの恋
本作はシリーズ4作目

これからシリーズを読む方は、ぜひ刊行順でお読みください!
①『すーちゃん』
②『結婚しなくていいですか。 すーちゃんの明日』
③『どうしても嫌いな人 すーちゃんの決心』
④『すーちゃんの恋』
⑤『わたしを支えるもの すーちゃんの人生』
レビュー

ネタバレ部分を含む感想は、ポップアップ式なので、読みたい方だけ開いて読んでください♬
保育園で働くことで気付くこと
3作目の『どうしても嫌いな人』では、すーちゃんが勤務するカフェでの人間関係をきっかけに転職して、今作では保育園の給食調理師として働いています。

他の調理員はすーちゃんより年上のベテラン女性の方ばかりですが、人間関係は落ち着いています。
一日中立ち仕事で忙しく過ごしていますが、充実した日々を送っています。
保育園には小さな畑があり、園長先生が栽培している野菜も給食に使っています。
園長先生と栄養士のみどり先生は夫婦です。
すーちゃん曰く、みどり先生の給食に対する考え方は
【子どもの好き嫌いをなくす】というよりは【好きなものをどんどん増やそう】という考え方のようです。

すーちゃんは、この2者の考え方について「似ているようで同じじゃない」と感じます
大人になると新しい食べ物はそんなに出会わないけれど、子どもが新しい食べ物に出会っていく貴重な体験に立ち会っていると身を引き締めるのでした。

貴重な体験に立ち会っている、という考えに至るすーちゃんすごい!私も子どもたちに対してそんな眼差しを持ちたいと思いました。こんなフレーズに出会えるのが、すーちゃんを読む醍醐味でもあります。
給食をなかなか食べない男の子へのアプローチとして、食べ物の出てくる絵本をテーマに給食を作ることを思いつきます。
土田さんとの再会…恋の行方は…?
土田さん33歳独身 やよいちゃんという彼女あり 書店員。
以前働いていたカフェのお客さんで、ちょっといいなと感じていた書店員の土田さんと、絵本をさがしに訪れた本屋で再会します。(すーちゃんが働いていたカフェの隣の土田さんが働く本屋とは別の本屋で偶然に再会でした。)

お互いに実はいいなぁと思っていたけれど、それを伝えることは無かったのでカフェではただのお客さんと店員の関係でした。
すーちゃんが転職して、偶然本屋さん出会ったら恋に落ちちゃいますよね!!
ちなみに私は10代の頃、『耳をすませば』というジブリ作品が大好きで、図書館で恋に落ちるというシチュエーションに憧れていました(笑)
土田さんとすーちゃんはお互い惹かれ合っています。二人はどうなるのでしょうか…?

土田さんにはやよいちゃんという彼女がいます。旅行の計画を立てたりして2人の関係は良好なようです。どうする!土田!
ネタバレを含むレビュー

これから読むのが楽しみ!という方は、飛ばしてぜひ読後また戻って読んでいただけたらとおもいます!

周りに読んでいる人がいないので、他の方の感想も聞いてみたい!
すーちゃんと土田さんは2人で食事に行きます。そこで、土田さんは彼女がいることを伝えました。
すーちゃんは、そのお礼として土田さんともう一度食事に行って、その帰り道で「彼女がいるのにこういう風に会うのは良くないですよね」といって土田さんに別れを告げます。

土田さんはカフェ店員時代からすーちゃんの事が気になっていて、再会後はメールのやりとりをしたり、食事に誘ったり思わせぶりなんです…。すーちゃんに彼女がいることを伝えることは正直だけれど、その正直さを”ずるい”と思ってしまいました。
デートっぽくならない料理とか、言い回しとかすーちゃんが気を遣うのがなんとも切ないです。

土田さんに食事のお誘いを一旦は断られる(彼女との先約で)すーちゃん。その日の夜彼女とのデート後土田さんからメールが来て、急いでかけつけるシーンは、わかるけど辛い…。
すーちゃんは気持ちを切り替えてまた日常に戻っていくのでした。
そして最後に土田さんからのメールが来たことに気付いたところで物語は終わります。
つづく!的な感じでとても気になる終わり方でした。
子どもがいる人生といない人生

女性にとっての結婚と出産
こいタイトルには恋と入っていて、恋愛一色かと思いきや、そうでないのがこの一冊です。
今回、すーちゃんが転職して保育園で働くことで、子どもという存在によりフォーカスしている作品だと感じました。
すーちゃんの友人である、さわ子さんとまいちゃんも登場します。まいちゃんは本作でママになっています。
友達に子供生まれてお祝いとか届けにいくじゃない?抱っこしていいよって渡されてもホントはそういうのいらないってゆーか
抱き方とか不自然でまごまごしてる自分がイヤなんだよね
すーちゃんの恋 さわ子さんのセリフより
あたしの生理ってなんのためにあったんだろ
すーちゃんの恋 さわ子さんのセリフより
すーちゃんとまいちゃんがファミレスでお茶をするシーンも心に残りました。まいちゃんは赤ちゃんを連れています。
以前の二人であれば、夜遅くに落ち合ってお酒を飲んだり、おしゃれなお店へ行ってお互いの話をしたりしていたのでしょう。
今は昼間に子連れでも行きやすいファミレスで会う二人。話の途中で泣き出す息子のたっくんをあやすため、二人の話は中断され早々に解散することになります。

別れたあと、すーちゃんのセリフが胸にせまりました…。
私はまいちゃん側で、同じように友人と会ったことを思い出します。すーちゃん側だったこともあります。
それまで友人と同じ道を歩んでいたような気がしていたけれど、結婚や出産といった幾つもの分岐点を経て、気が付いたら心理的距離が遠くなってしまうことがあるよなぁと感じました。
そして、まいちゃんもまた
あたしはお母さんだけれど
お母さんになったのだけれど
「お母さん」じゃないあたしだっている
すーちゃんの恋 まいちゃんのセリフ
またいつか
またいつか
いろんな話ができる日がくるのかな
すーちゃんの恋 まいちゃんのセリフ
と想うのでした。
それぞれの人生を生きる その先にあるもの

同じ川にいて、一度大海にでる。そしてまた満身創痍で川に戻ってくる。
話がすこし変わりますが、ポッドキャストを愛聴しています。
お気に入りの番組にover the sun(オーバーザサン=おばさん)があります。アラフィフ女性のエッセイストであるスーさん(ジェーンスー)と元TBSアナウンサーの堀井美香さんの番組です。スーさんは独身女性で、美香さんは既婚でお子さんがいます。笑いあり、涙あり、アホらしいこともあり、元気の出る番組です。
まいちゃんのセリフ「またいつかいろんな話をできる日がくるのかな」を読んだ時、
ep.31の「大海を知り、やがて川に戻る。」(Spotify over the sun)

ブラウザでもエピソードを再生できます。開始から25分くらいでそのお話をしています。アプリだと早送り機能が使えます!
という回を思い出しました。
冒頭の「同じ川にいて~」という言葉は、リスナーの30代の女性からのメール「友人8人のうち自分だけが独身で取り残されたような気持ちになる」に対してのアンサーです。
初めは同じ川にいた友人同士も、結婚や出産や仕事といったライフステージの変化でそれぞれが大海にでて一度離れ離れになる。
けれども、また50代60代になったときに、互いに人生を満身創痍で泳いでまた川に戻り再び集まってまた笑って話せるようになる。

大体そんなことを言っていました。
学生時代までは同じような悩みを抱えていても、就職、結婚、出産とライフステージの変化によって、悩みは変わってきます。

結婚の有無、出産の有無といった人生の分岐点を経るごとに、気が付けば心理的距離も大きくなっていきます。例え結婚、出産という同じような道を辿っていたとしても、パートナーや住む場所、自身の仕事についてなどはもちろん異なっていて、悩みもさらに個別化、細分化していきます。
私自身についていえば、中学生からの友人(独身)とは会う頻度も減っていき、私の抱える悩みと彼女の抱えている悩みは互いに深いところでは共感ができなくなってしまっていました。お互いに悩みを聴くことはできるけれど、できるアドバイスもなくて自然と相談を持ちかけなくなった感じがします。

彼女も私に話してもしょうがないと思っていたかもしれません…
それでも、いつかそれぞれの人生のその先で「お互い大変だったけど頑張ったよね」と労いあってまた夜お酒を飲みに行ったり、互いの趣味について語り合ったりできたら
とても幸せだなと思います。
1番救われた言葉
すーちゃんと、栄養士のみどり先生の会話です。とてもとても心に響いて忘れたくなかったのでここに置いておこうと思います。
それにね、そんな言い方しなくていいの
「逃げ出した」なんて
言葉にしばられず
そのまま受けとめればいいの
「逃げた」じゃなく「辞めた」
それだけのことよ
すーちゃんの恋 みどり先生のセリフ

こんなセリフを思いつく益田ミリさんはやっぱりすごいです
すーちゃんと歩む人生
私は折に触れてすーちゃんを読み返しています。初めに出会った頃は20代で独身でした。
題名は『すーちゃんの恋』ということでその時は土田さんとの恋愛模様にやきもきして読んでいました。
久しぶりに読み直したら、子どものいるまいちゃんに自分を重ねていました。読むその時々で、心に響くセリフが異なります。だから何度も読んでしまうのです。
ぜひ読んでみてください♪
益田ミリさんのマンガ紹介


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