『沢村さん家』シリーズの40歳の実家暮らしの娘であるヒトミさん。そのヒトミさんが主人公の物語です。どんな恋をするのか?実家を出たりするのか?ドキドキして読みました!
沢村さん家ヒトミさん主人公の大人の恋のスピンオフ
沢村ヒトミ40歳の恋の行方は?
ピンクをメインにしてチェック柄のお花が描かれた表紙もとってもかわいくて、”恋”のテーマににぴっったり!章のタイトルのところにも小さなリボンがあしらわれていてかわいい作りの本です。
あらすじ

同居している両親の老いを身近に感じながら、
好きな人に会いに行くために、少しでも若く見える
ワンピースを身にまとうヒトミさん。「沢村さん家のこんな毎日」の物語の後ろで
ヒトミさんのひさしぶりの恋は、走り出していた。
恋でしか味わえない、この胸の高鳴りとともに…「ヒトミさんの恋」という描きおろし作品の中に「沢村さん家」シリーズの過去の回をちりばめて新しい一つの物語にする、という初のセルフリミックス・コミック!!
文藝春秋BOOKS HP 作品紹介より

『ヒトミさんの恋』単体でも楽しめますが、『沢村さん家』シリーズを読んだ後に読むのがおすすめです!
『沢村さん家』シリーズのエピソードを土台として、前後にエピソードを足して再構成(=リミックス)した内容となっています!
心に残ったシーン

今回も刺さるセリフがてんこもりでした…。
妊婦の同僚と自分を比べて…
山田さんの10か月と私の10か月
同じ重さなのかな
ヒトミさんの恋

胎内で赤ちゃんを育てている同僚の10か月と、自分の10か月の差について考えたのでしょうか…。沁みます…。こちらは、『沢村さん家』シリーズでもあったエピソードですが、『ヒトミさんの恋』の方で読むとより切なさが増していました…。
女子会の後に…
夜10時にタクシーを停めて年下の男に会いに行くわたしは
恋にではなく
自分自身に酔っているのかも
しれません
ヒトミさんの恋

『沢村さん家』にも登場していた女子会のシーンの後に新たに足されたのは、仲の良い友人たちに嘘をついて、男性に会いに行くシーンでした。夜の街でタクシーを停めてスッと乗り込み、男性の元へと向かうオトナなシーンです。
『ブラームスはお好き』伏線回収
益田ミリさんの『ミウラさんの友達』(2022)の作中に出てきたサガンの小説『ブラームスはお好き』について、もう少し深く触れたシーンが出てきます。
私は、この本を知らなくて、調べたところ年下男性との恋についての小説だと知りました。なぜここでこの本が出てくるのだろう?と思っていましたが、今回『ヒトミさんの恋』でマカベくんが登場したことにより、伏線回収となりました。『沢村さん家』の裏で同時進行でマカベ君との恋が始まっていたのですね…。
それにしても、10代でフランスの大人な恋愛小説を読むとは…ヒトミさん早熟だったのですね。

まさか益田ミリさんの作品で伏線回収という四文字熟語を使う日がくるとは!

こちらも、ぜひ読んでみてほしい!!!私の中ではSF作品です。読後の余韻が素晴らしいです。ぜひ味わってみてください。
ネタバレを含む感想


ネタバレを含んだレビューとなりますので、これから読むよ!という方は飛ばしてください♬
ぜひ、ぜひ、『沢村さん家』シリーズを読了後によむことをおすすめします!
文庫版だと単行本版の2冊分が合本となっているので一気読みできます♬
ヒトミさんは、会社の後輩で14歳年下の26歳のマカベくんから食事に誘われます。

タクシーの中で手をつないだことを『一般道から高速に入った』と表現するのに痺れました…。なんてオトナな表現なんでしょう!
マカベくんに食事に誘われ出したころ、学生時代に片思いをしていた岡くんとも再会します。(同じく学生時代の既婚の女友達の引き合わせでした。女友達と岡くんは子ども同士が同じ習い事で再会したのでした。)岡くんは離婚しており、今は独身でヒトミさんにアプローチをします。

ヒトミさんは2人の男性の間で揺れるのです。モテ期到来!
ヒトミさんは、マカベくんとお付き合いすることになります。お付き合いは順調でしたが、マカベくんの福岡転勤が決まり、ほどなくしてお別れするのでした。
マカベくんとヒトミさんの恋が短いものになるだろうというフラグは幾つもあって、読者である私はこの恋は短命で終わるのかなと序盤で感じていました。
やはり14歳年下というとことがネックなのでした。

ヒトミさんはマカベくんとのデートの時に若めの服を選んでいることで、現在40歳という自分を否定している気持ちになったりするのです。
部屋選びをしている時に、不動産屋さんから「お母さん…お姉さんですか」と問われたときも笑ってごまかしたマカベくんにモヤモヤしたところからも、不穏さを感じますね…。
そして、岡くんに連絡を取ろうとしていて、冒頭の学生時代の女友達に連絡したところ、なんと岡くんと付き合っていることを聞かされます。(岡くんは独身だけど、友人の方は既婚なので不倫関係ということになります)
「恋っぽいもので十分なんだよ」「もううちらおばさんだし」と友人。

「もううちらおばさんだし」って、ヒトミさんを巻き込まなくっていいじゃん!っておもいました。そして、ヒトミさんは独身だけど、あなたは子供もいる既婚者なのですから、同じ年齢の二人でも置かれた立場は大きく異なるのです。
そして、またひとりに戻るのでした。
しばらくして、会社で偶然にマカベくん出会います。一時的に戻ってきていたのでした、別れたあとのヒトミさんは、想います。
「いつか結婚するマカベくんを見る刑」に処せられるのです
このセリフもとても好きです…。同じ会社ですから、場所は違えどそう遠くない未来にマカベくんが結婚したらしいという風の噂を聞くことになるのでしょう。未来のその状況すら、すでに受け入れる覚悟が感じられます。どこか達観したヒトミさん…かっこいいです。

この後のヒトミさんのセリフが好きです!かっこいい!
40歳の恋とは

20代で出会った益田ミリさんの本たち。
私自身も20代で結婚することに憧れていました。それが当たり前のルートだと思ってしまうような”空気”が今よりもまだありました。
20代の当時は30代で独身、40代で独身というのがまったく想像できませんでしたが、30代も半ばを過ぎた今は”普通にあること”と思っています。
今回はヒトミさんの友人が不倫をしているのですが、そこにヒトミさんのジャッジはありませんでした。女性でも4-14%前後が不倫経験をしているというデータがあるそうですが、ヒトミさんはどう思っているんだろう…と気になります。(もっというと、益田ミリさんはどう思っているんだろう)
アプリでの出会いも当たり前、子どもがいない選択もあたりまえの今、この先ヒトミさんはどんな人生を歩んでいくのでしょうか。
幸せは恋愛や結婚だけではないけれど、ヒトミさんも両親の四朗さんと典江さんも幸せいっぱい!と大団円なお話がいつか読めたらうれしいなぁと思います。

『沢村さん家』シリーズが気になる方はこちらからどうぞ!

こちらは、同じくタイトルに恋がつく『すーちゃん』シリーズの本です。シリーズ読みでさらに楽しめますよ~!

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