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益田ミリ『わたしを支えるもの すーちゃんの人生』レビュー

読書

5作目 『わたしを支えるもの』(2019)

すーちゃん40歳になりました

↓こちらは文庫版です。令和4年に発行されていて、文庫化にあたって益田ミリさんと、すーちゃんの特別対談が巻末に掲載されています。

森本好子(もりもと よしこ)、本日、40歳になってしまいました。マジか―。
――世界は美しく、わたしは生きている。人気シリーズ第5弾。

幻冬舎HP 作品紹介より

心に残ったエピソード

今回も幾つかピックアップしてみました。私はさわ子さんのセリフに心を持っていかれることが多かったです。

世の中に委縮してる自分 byさわ子

もう若い女の子じゃないっていう申し訳なさのようなもので

別に誰に申し訳なく思う必要もないのに

自分が勝手に反応して

気持ちを小さくしているのでした

人を避けるのが苦手になったと感じているさわ子さん。若くないから、避けてもらえなくて当然と思っています。

なんか、この気持ちをわかってしまう私自身もちょっとむなしくなってしまいました。

私なんかおしゃれしてもな、とかも思ってしまう時があります。

年齢はダイヤモンドのカラット数と同じ!という考え方を聞いてから、私もそう思うようにしています。いつまでも年齢を前向きに捉えていきたいものです。

ひとりじゃない byすーちゃん

ずっと自分とおしゃべりして生きている

それは、

友達をひとり連れて生まれてきたという

ことでもあり

その友は、

死ぬまで一緒にいてくれるのです

『わたしを支えるもの』より

何を隠そう、私は自分とのおしゃべりを四六時中しているんです!

脳内おしゃべりと呼んでいて、その記事も書いています。よろしければどうぞ!

友達だと思うと、脳内おしゃべりも悪くないですね♬

なぜか、当サイトの1.2を争う人気記事です(笑)

『あなたのために いのちを支えるスープ』

作中で、術後に自宅療養中のみどり先生が、嚥下機能が弱まってしまい流動食になりました。それがまずくて、あまり食べられません。

すーちゃんは書店員の土田さんから『あなたのためにいのちを支えるスープ』という本の存在を教えてもらい、みどり先生のためにスープを差し入れすることにしました。

作者の辰巳さんが病気のお父さんのためにつくったレシピだそうです。

クロワッサンのHPで辰巳さんのインタビューとスープのレシピと写真がみられます。

子どもの離乳食でよくポタージュスープを作っていたのを思い出しました。

ネタバレありのレビュー

内容に深く触れていますので、これから読まれる方はご注意ください。

自分の読書記録も兼ねているのでとても長いです!ご容赦ください。

まずは、こう叫びたいです。

つちだーーー!!!!!

お前は既婚者で子どももいるのにまたすーちゃんにちょっかいを出しやがったなァ!!

前作の『すーちゃんの恋』では、彼女持ちにも関わらず、すーちゃんに思わせぶりな態度をして何度か食事にいきます。最後、土田さんからのメールの着信に気付いて終わったと思うのですが、その続きからではありませんでした。

すーちゃんが土田さんと決別して3年後の再会であると今作で明かされています。

今回もばったりと道で遭遇します。土田さんは異動して千葉の書店で働いているとすーちゃんに伝えます。そして焼き鳥屋でビールを一杯飲んで、他愛のない話をして別れます。

そしてこの時、土田さんの薬指の指輪に気付いたのでしょうか…

土田さんからメールが来て、ドキドキするすーちゃん。

うまい中華(ただのメシ)で、他愛のない話をすることで、これはデートではないと互いに言い聞かせてたのかな…

その後3回目の食事、中華屋の帰りに土田さんからの誘いで手をつなぎます。

それは完全にもうアウトだろ土田ァァ!!!!

食事の時の会話は食べ物の話や本の話で、色気のある話ではなかったのでしょう。子どもの頃の話を聞いてもらったり、自分や相手の興味のある話を互いにして、興味をもって楽しく聞けたり。

それってもう心の深いつながりをお互い心地よく感じていたのかな。土田さんがチャラい人間ではなく、誠実な人間である、ということも根深いです。その場の軽いノリじゃないんです。

ほんとうに誠実な人なら、好きだった人と何度も食事いかないけどね…

3年前に再会したときも、今回再会した時も、ずっとすーちゃんのことは頭にあったんだと思います。

それでも、彼女であるやよいちゃんを選んだわけです。3年前にやよいちゃんと別れてすーちゃんを選ぶこともできたはずだけど、それはしなかった。

そして終盤、すーちゃんのお父さんの突然の死が訪れます。

東京から鹿児島に向かうも、死に際には間に合わなかったすーちゃん。

今のあたしを支えてくれるのはあの人じゃない

わたしを支えるもの 

と思って、土田さんにもう会わないことを告げます。

鹿児島からの帰路の夜、すーちゃんは決断するのです。お父さんとの突然のお別れと、土田さんとの2度目の別れが重なった夜でした…。

すーちゃんのその後

2019年以降、すーちゃんの新作は出ていません。あのあとすーちゃんや、さわ子さん、まいちゃんはどうしているのかなぁと思います。

すーちゃんをずっと隣で見ている友人のような気持ちの私は、3人が元気で過ごしてくれていたらいいなぁと思うのです。

益田ミリさんの作品は、他のシリーズの登場人物が脇役で出演したりするので、他の作品で元気な姿をみれたら幸せだなと願っています。

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